第25回日本総合病院精神医学会総会 会長挨拶

大会長 保坂 隆

この度「第25回日本総合病院精神医学会総会」を平成24年11月30日(金)、12月1日(土)の2日間、東京の京急蒲田駅前にある大田区産業プラザ(Pio)で開催することになりました。

日本総合病院精神医学会は、昭和63年に第1回総会が東京で開かれて以来、精神医学の専門領域の学会として歴史を重ねてきました。同学会の前身であるGHP研究会は、昭和59年1月に第1回が開催され、その後、同学会認定地方会第1号となりました。私は今その研究会の会長もさせていただいている関係で、日本総合病院精神医学会の発展・成長を一番近くで見ていたひとりでもあります。

その後、同学会は精神科七者懇談会のひとつに加わり、他の精神医学・精神医療の団体と協力しながら、またある時には、同学会独自の活動を行って参りました。さらに、平成21年11月には日本専門医制評価・認定機構によって、本学会の専門医資格が「一般病院連携精神医学専門医」として認可されました。精神医学関係の学術団体では第1号ということになります。同学会は総合病院の精神医学に関心を持つ医師および医療従事者によって構成されており、現在の実質的な会員数は約1800名に達しています。来年度は第25回という、いわば区切りの時でもあり、これまでを俯瞰し、これからを見据えてギアチェンジする時期だとも思っております。

総合病院精神科は、総合医療を提供する一般病院に併設された精神科です。総合病院精神科では、一般診療科で治療を受けている患者のこころの問題に対して積極的にかかわるコンサルテーション・リエゾン精神医療をはじめ、緩和医療、精神障害者の身体合併症医療、高度救命救急センターにおける精神科医療などを実践しています。すなわち、医療の高度化・細分化によって必然的に生じた間隙を埋めるために不可欠な専門領域として、医療者の間ではすでに広く浸透してきていると自負しても良いと思っています。

そのようななかで、最近いろいろなところで「チーム医療」という言葉を聞くようになりました。緩和ケアチームなどは、その一例で、チーム医療が診療報酬化された前例となり、今も、診療報酬化の話題のなかで、この「チーム医療」が取り上げられています。しかし、思えばこの「チーム医療」こそ、実はリエゾン精神医学が当初から目指していたものであり、これなくして、リエゾン精神医学の臨床は成り立たないと思えるくらい重要なものであるという認識が、会員の間では当初から共有されてきました。けれども、ここで医療全体のなかで「チーム医療」が必要だという認識が、他の医療の現場から持ち上がってきた今、改めてこのテーマを考え直す機会にしようと思い、総会テーマを「新たなチーム医療の展開に向けて」とさせていただきました。副会長に松島英介氏、プログラム委員長に岸泰宏氏、事務局長に篠原隆氏、会計に赤穂理絵氏という体制で走り始めました。

すでに多くの会員も参加しているAPM(Academy of Psychosomatic Medicine)から学んだ経験を生かして、総会では教育的なセミナーやワークショップをたくさん予定していますし、コメディカルの参加無しではわれわれのチーム医療は成り立ちませんから、コメディカルスタッフのためにも教育的なセッションを数多く企画したいと考えています。

やや閉塞感を感じ始めた日本総合病院精神医学会の突破口になるよう、区切りの25回目の総会を新しい形態で開催しようと考えています。情報は総会HPに加えて、YouTubeやFaceBookなどを駆使しながらお届けするように考えています。

どうぞ皆様の多数のご参加をお待ちしております。

▲ページ最上段へ